No.422  2007年8月号
 整形外科の外来では、腰がいたい、膝や肩がいたい、脚や手がしびれる、などを訴え方々を診せてもらっています。病院を受診する段階になると、病気の見逃しをしない、ということになりますので、レントゲン検査に加えて、三年前から導入されたMRI の検査を行うことが一般的になりました。レントゲンは基本的には骨組み (骨格) の輪郭をとらえるものです。それにくらべて、MRI は骨の中の様子や、骨以外の要素 (筋肉や靱帯、軟骨、特殊な軟骨である椎間板、そして脊髄などの神経) をかなりの程度うつしだしてくれます。大変重宝しています。
さて、病院を受診するほどではないが、腰や関節などがいたい、なんとかならんだろうか、と思っている方へのお話です。宙に向かって話をするような気がしますが、一応外傷に由来するものではない、という状況 (膝がいたい) を設定してみます。膝は体を支えてうごかす重要な関節ですが、歩く以上毎日使っています。膝の力をいれるのに大切な筋肉は、大腿四頭筋といって、ふとももの前のほうから、膝に向かい、おさらに集中するよう走っています。おさらはこの筋肉の中にできた骨、といってよいでしょう。さあ、おさらのまわりがいたい方へのお話です。おさらはいつも大腿四頭筋に引っ張られて、緊張の中にいます。そこで緊張をほぐす (おさらの回りの血行をよくする) という提案です。それはおさらのまわりをゆっくり自分の手で押すという体操です。おさらを自分でさわってみてください。膝をのばすとおさらの動きに遊びがでますのでわかりやすいと思います。ぶつけたときぐらいしかさわってあげてないとおもいますが、径三〜四pぐらいにふれるかわいい骨=働きモノです。その上のへり、横のへり (うちとそと) を一〇秒ぐらいづつじわーっと押してあげましょう。ひざの真裏に向けておす (垂直におす) と、軟骨をいためる危険がありますので平面の方向で。やさしく。五分ぐらい…。
 もう一つは筋肉を強化する、という提案です。膝が真直ぐにのびにくくなってきた、という方は膝をしっかり筋肉 (やはり大腿四頭筋が重要) のちからでのばすようにしてみましょう。ねて仰向けになって、膝をのばしたまま、かかとを一〇pぐらい浮かします。力をこめて。膝のうらが伸びる感じを意識して。あまり力む時間をながくすると、血圧などに影響しますので、六秒ぐらいで休んで、また続けます。これを五分毎日やったら立派なものです。
 以上のようなことがうまくいかないとき、役に立たない時、整形外科外来があります。その時はお役に立ちたいと思います。
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