No.417  2007年3月号
@医療…二〇〇六年六月十四日の医療制度改革関連法が今後の五年間を決めました。
 医療改革関連法の内容は、経済・財政主導の医療費削減策と民間市場への転換を加速させるものです。医療機関側には診療報酬を施設基準や人員配置の状況によってランク付けし、再編を進めることで勝ち組、負け組に選別しようとしています。患者の側には一部負担金の増大、混合診療、高齢者医療保険制度などによって医療の平等・公平の原則を崩そうとしています。
A介護…医療費を削減するために入院から在宅(看取り)医療への誘導が進められています。
 急速に増大する介護保険利用者に介護給付の減少が求められています。介護保険制度の変更、介護報酬の削減は、利用者にとっても事業者にとっても十分なサービスを提供、利用できない脳みとなっています。ケアマネ不足から認定にさえたどり着けない高齢者が続出しています。
B健診…二〇〇八年に健診制度が大きく変わり、健康の自己責任がいっそう求められます。
 老人保健法に基、づく白治体健診の制度が廃止され、「特定健診」「特定保健指導」制度が始まります。これにより、生活習慣病患者と予備軍を大幅に減少させ、医療費削減の結果次第で保険者に高齢者医療保険の拠出金に±10%の差を設けようとしています。
@社会構造の変化が進んでいます。
 団塊の世代のいっせい退職、少子、高齢化と人口構造の変化、格差社会の拡大と容認などがそうです。
Aルールなき資本主義が先鋭化しています。
 資本家からは、ホワイトカラーエグゼンプション(残業ただ働き)の導入、法人税減税と消費税増税、社会保険料負担の軽減などが要求されています。
B憲法の危機が迫っています。
 国民投票法の準備が進み、憲法改定が迫ってきています。平和憲法がまさに危機です。
C若年層の教育と労働の危機はきわめて深刻です。
二ート、フリーター、ワーキングプアの増大は、もはや個人の責任として片付けることができないほど社会に深刻な影響を及ぼしています。
D社会保障の後退が連続して進められています。
 生活保護、年金などのセーフティーネットが崩壊しています。新自由主義経済で小さな政府作りがすすみ、社会保障など所得の再配分が機能しなくなるなか「貧困の世襲化」が進んでいます。
二〇〇七年度 五つの重点課題テーマは「たよりになる生協をつくろう」
@明るく・楽しく・ためになる組合員活動をしましよう。
 一にも二にも、三にも四にも班会、班会。人と人とのつながりを大切にし、サークル活動とあわせて心と体のリフレッシュをしましょう。
A強く・大きく・頼りになる生協をつくりましよう。
 医療、介護、「生きていく」ための仕組みに息吹を吹き込むには、生協が大きくなって社会的な影響力を発揮することが求められています。今年度四万人、早く五万人の生協で、地域の住民からも、行政からも、地域の企業からも団体からも頼りにされる生協をめざしましょう。
B医療・介護の日常に患者の権利章典を具体化し、事業の質を向上させましょう。
 国が進める医療機関の選別に対抗できるのは「患者の権利章典」の実践以外にありません。
 また、事業の質とそれを支える職員集団の力量アップの取り組みは欠かせません。「医療生協人」の取り組みや「フィッシュ」技法を使った職場環境改善の取り組みを通じて改善します。
 医師・看護師の確保は経営に直結する緊急かつ重要な問題として取り組みを重視します。
C安全・安心のくらしとまちづくりをリードする生協にしましょう。
 急性期・救急医療、慢性期・療養医療、外来・生活習慣病、在宅、保健予防活動をこれまでどおり病院、医科・歯科診療所、クリニックなど生協の資産を十分に使って行います。
D平和憲法と人権を守る活動をリードしましょう。
 平和憲法を守る、人権を守ることに最大の力を注ぎます。組合貝が地域の「人権を守るアンテナ」として活躍し、くらしと健康を守るさまざまな取り組みをすすめます。
3月号TOPに戻る ≪前の記事 次の記事≫