No.405  2006年2月号
 年明け早々、昔いっしょに仕事をしていた教師が訪ねてきた。年々、厳しくなる現場を嘆きながら、学級で起こった「いじめ」事件を話しはじめた。複数の子どもがA子をいじめ、親たちも入り、大変な状況になった。A子を転校させることで決着をつけたが、A子は登校できなくなっているという。
 確かにいじめられる子の特徴はいくつかある。しかし、誰しも特徴を持っているのは当たり前である。だからといっていじめていいはずがない。
 いじめはいじめっ子にストレスがたまっていて、その発散のために生じている。いじめられた子が転向してもまた誰かがいじめられる。いじめ対策で大切なことはいじめられた子の自尊感情が損なわれないように支えることだと考えている。「いじめられる自分は情けない」「自分が悪いから・・・」と悩んでいる子に「あなたは決して悪くない」と明確に伝えることだと考えている。自尊感情とは自分自身が価値のある人間だという自身や誇りの感情で少年少女の発達課題である。いじめられた子に転校をさせるという現場の対策は子どもの自尊感情を踏みにじっているように思う。
 私は、「いじめは、いじめっ子の心のSOSであり、いじめはあってはならないと考えると、そのことがみえなくなる。集団のなかではいじめはあることを前提にみてほしい」と伝えた。(HKO)
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