No.405  2006年2月号
 80代の母が寝たきりになり自宅での介護が困難で息子さんが療養型病床への入院相談で来られました。本人の収入は国民年金月4万円と原爆の健康管理手当約3万円のみで、家族も金銭的な援助をすることは難しいとのことでした。一般に療養型病院では、医療費・食費・雑費(おむつ代やお世話代)などあわせると最低でも月12万〜13万はかかってしまいます。費用の問題だけでなく、本人の医療依存度が高いほど療養できる病院は限られたきます。この方は原爆手帳があり、医療費・食費は無料となるのでなんとか療養できる病院をご紹介できましたが、2008年度から長期入院患者の居住費・食費も自己負担となれば新たに費用負担が増え、療養を続けられなくなる可能性が高くなります。すでに2005年10月から70歳以上の一定額以上所得のある高齢者の医療費負担は2割から3割に、2008年4月から70〜74歳の高齢者負担が1割から2割に引き上げられる予定です。また、高齢者の医療制度が新設されると新たに保険料を徴収され、あわせて今年4月からさらに介護保険料も上がろうとしています。昨年度から高齢者控除も外されたため、飛躍的に課税世帯が増え、非課税世帯に一部負担が発生し、制度の
日本の高齢者はケアプランでがんじがらめ
(班会メニューコンテストより)
利用が難しくなってきます。介護保健施設の居住費・食費の自己負担化では年間40万円程度の負担増と報告されています。
 このようなケースは特別なものではなく、私たちの周りに身近のに存在しています。高齢者の全国平均年金月額は約12万円ですが、年金受給者の約半数が生活保護規準以下の月額収入で生活を送っています。このような高齢者が今後どのように生活していったらよいのでしょうか。お金がなければ医療も介護も受けられない状況がつくられていることに危機感を覚えるとともに、声を上げていくとりくみの必要性を感じています。
(福島生協病院相談室 古川 祥子)
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