No.383  2004年2月号
(川真田 智子)
1979年広島大学医学部卒、
日本耳鼻咽喉科学会専門医、
趣味は写真。
 花粉症は、 大気中を飛んでいる花粉が人の粘膜についてアレルギー反応をおこし、 症状が出る病気です。 つまり、 花粉が原因であるアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎のことで、 代表的なのがスギ花粉症です。

〈スギ花粉症の症状〉
 症状は、 くしゃみ、 鼻水、 鼻づまり、 目のかゆみや充血、 なみだ、 目やに、 皮膚のかゆみ、 倦怠感などです。
 これらの症状は、 原因の花粉が飛ぶ時季にだけ起こります。 広島で、 スギは二月初めに粉が飛び始め、 二月なかばから増えてきますので、 二月から三月に症状が出ます。
 晴れて風が強い日は、 花粉が多く飛ぶため、 花粉症の症状がひどくなります。

〈花粉症の検査〉
 スギ花粉症は、 スギの花粉に対する免疫物質(抗体)をもつ人にだけおこります。 抗体があるかどうかは血液検査で調べられます。
 花粉症が四月以降も続く人は、 ヒノキ、 イネ科など、 他の植物の花粉症になっているかもしれません。

〈花粉症の対策〉
 まず大切なのが、 原因の花粉を避けることで、 次のような対策があります。
 ・花粉が飛びやすいときはできるだけ外出しない。
 ・晴れた日は窓を開けない。
 ・ 戸外では、 眼鏡や花粉症用のマスクをする。
 ・外出から帰ったら、 家に入る前に髪や服をはらい、 花粉を家に持ち込まないようにする。洗面・  うがいをする。
 ・室内のそうじ(雑巾がけ)

(薬による治療〉
 治療では抗ヒスタミンの内服薬、 ステロイド点鼻薬、 目薬がよく使われます。
 抗ヒスタミン薬をのむと、 眠気やだるいなど、 副作用のおこることがあります。 また、効果がすぐには充分に出ないこともあります。 医師と相談しながら治療しましょう。

〈軽いうちから治療を〉
 アレルギーを起こした粘膜はどんどん過敏になり、 次に抗原が付いたときの反応が強くなるという悪循環がおこります。 花粉症の症状がひどくなって治療を始めると、 粘膜がとても敏感になっているので、 なかなか症状がよくなりません。 まだ軽いうちから治療するほうが効果的です。

〈初期治療〉
 花粉症に毎年なる人は、 花粉が飛び始める約二週間から抗ヒスタミン薬をのんで粘膜の過敏性を抑えておくと、 症状が軽くてすみます。 広島では、 一月下旬あるいは二月初旬から薬を始め、 花粉が飛ばなくなるまで続けます。

〈今年は花粉症が軽い?〉
 昨年は冷夏で、 スギの木に雄花の芽があまりできませんでした。 そのため、 今年はスギ花粉が例年の半分以下しか飛ばないだろうと予測されています。 花粉症の症状は軽くすみそうです。




〈バランスのよい食事で体づくりを〉

 ・免疫力を強めるように偏らないバランスのよい食事に心がけましょう。 睡眠不足も大敵!
 ・とくに油脂やたんぱく質を摂り過ぎない。 穀類と野菜中心の和食がよい。
 ・次のようなビタミンの多い食材が有効です。

ビタミンA(粘膜を強くする)
レバー、 緑黄色野菜(春菊、 ホウレンソウ、 ニンジンなど)、のり、 チーズ、 うなぎ、 卵など

ビタミンB6(免疫グロブリンを強くする)
鮭、 サバ、 マイワシ、 レバー、 ジャガイモ、 さつまいも、 芽キャベツ、 ピーナツ、 牛乳、クルミなど

ビタミンC(マクロファージの活性化)
ブロッコリー、 柿、 イチゴ、 キウイ、 芽キャベツ、 レモン、 みかん、 小松菜、 ホウレンソウ、 さつまいも、 ピーマン、 ジャガイモ、 パセリなど
 
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