No.421  2007年7月号
 窓をあけると目の前に広がる隣のビルの壁。洗濯機の巾にあわせたようなベランダ。トイレ、ロッカー、バスルーム。小さな流しとコンロ。テレビもベッドも洗濯機も備え付けてある。
 段ボールに詰めた衣類と本と身の回りのものを運びこめば、その日から生活が始まる。ワンルームマンション、快適とまでとはゆかなくても一人住まいの身軽さを思いうかべる。
 息子の一年半過ごした部屋の大掃除くらい手伝おうと、大阪まで出かけた。
 部屋の中で一夜と一日、ドアの閉まる音と洗濯機の回る音が人の暮らしていることを伝えてくれる。
 朝出かけて夜遅く帰宅。寝に帰るだけの部屋は、休日一人で居ると壁が迫ってくると言う。生活機能が整うだけでなく、人声や笑い声も間接的であれ生きることに必要なのだなと思う。
 昨今のニュースで伝えられる事件、地域で日常的なつながりがあれば防げたものもあるかもしれない。
 昼食をとりに外へ出ると、平屋の民家が並んでいて花がいっぱい咲いている。戦災を免れた地域と教えてもらう。
(HYM)
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