No.419  2007年5月号
 糖尿病にはいくつかの合併症があります。三大合併症と言われるのは腎症、網膜症、神経症ですが、歯周病も第六の合併症といわれています。
 糖尿病の合併症は血管が狭くなって起こってくるのですが、そのために歯肉の血液循環も悪くなります。生体の防御機構に関与する白血球の活動が低下したり、歯周組織内で繊維合成の低下などが起こります。疫学的研究でも、糖尿病の患者は歯周病が進行しやすいことが示されています。
 一方、歯周病が糖尿病を悪化させる因子にもなります。歯周病になった組織から放出されるある種の物質が、インスリン抵抗性をもたらし、その結果、高血糖になると言われています。歯周病の治療をして糖尿病が良くなったという報告もいくつも現れています。
 少々難しい話になりましたが、簡単に言えば、糖尿病の人は歯周病に注意し、早めに歯科受診をすべきだし、歯科治療が糖尿病の治療にも役立つということです。歯が良くなれば食事も改善しますし、よく噛むことは肥満解消にもつながります。このように歯科治療は一石二鳥にも三鳥にもなるのです。
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