No.413  2006年10月号
 夜の星を見上げるといつも同じところに現れる星座を見て季節を感じ、心も安らぐ。幼い頃から「天を父と思い地を母と思え」と毎日、空と山々に親しんできたものである。
 晴れた夏の夜空には、大きなはくちょうやわしが飛んでいる。真夜中になってあたりが真っ暗になると、天空は星屑に手が届きそうなほど近くに輝いて見える。それは、どんな宝石にも勝る輝きだ。
 北の空には、おおくま、小ぐま、カシオペア。夏の夜は眠るのも惜しいくらいだ。
 少し涼しくなり、オリオン、ふたご座、おうし座、ぎょしゃ座。寒さも増してくる。
 真夜中に一人で星空を見上げ、心のすみずみまできれいになるのを感じる。それは何十年も何百年も変わることは無いのに。今頃あのたくさんの星屑をなかなか見ることが出来ない。地上の電気が明る過ぎるのかと思い、どこか山間部にでも行けば昔見えていた星屑を見られるかも知れないと家族に話すと、「プラネタリウムにでも行ってみれば?」なんともそっけない返事であった。しかし自分は信じてやまない。あの星屑の夜空は私達の心のすみずみまで、そして病気でさえも洗い流してくれると。
(HHM)
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