No.412  2006年9月号
 七月二十一日の閣議で小泉内閣は来年度の予算基準として社会保障費を二千二百億円圧縮する事を決めました。高齢化にともない社会保障費は自然に増加します。二〇〇二年度に自然増分の三千億円を圧縮したのをはじめ、以降毎年約二千億円を圧縮していきました。この結果二〇〇二年度は医療改悪、二〇〇四年度年金改悪、二〇〇六年度ふたたび医療改悪が行われました。
 医療の連続改悪で八月からは「現役並み所得者」と扱われる七十歳以上の高齢者の医療費の負担が二割に、十月からはさらに三割となります。七月三十一日には負担が上がる前にと「駆け込み」で受診をされる方が目立ちました。しかし、こうしたわずかな「自己防衛」策も所得税・住民税の増税、介護保険料、国保料(税)の引き上げの前には焼け石に水です。税金が上がれば皆連動して上がる仕組みのなかで、雪だるま式に膨れ上がる自己負担増にはもう耐えられないという悲鳴があちらこちらから聞こえてきます。この悲鳴を全く聞こうとしないばかりか、更に二千二百億円も社会保障費を削り、公共事業と防衛費を聖域扱いするという政治のあり方は大きく問われるのではないでしょうか。
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