No.410  2006年7月号
 6月号では、実際に療養病床を運営している生協さえき病院の経営的な影響や新設された療養病床医療区分に対する問題点等が掲載されました。今号は、福島生協病院の急性期医療(一般病床)への影響についてお伝えします。
 急性期医療に対する最大の特徴は、療養病床を六年かけて二十三万床削減する計画と並行する、一般(急性期)病床の削減=公的医療費の削減です。
 一般病棟入院基本料が改定をされ、看護師の配置数により点数に差がつけられています(表参照)。
 表のとおり、七対一入院基本料が新設されました。概ね一・四人の患者さんに一人の看護師配置(増員)となります
 看護師の増員でよりきめ細やかな看護の提供が可能となり、患者さんにとっては朗報です。しかし、在院日数も平均で十九日以内と制限されていますので、長期の入院はできません。福島生協病院では、看護師の採用(増員)を進め、四月より十対一入院基本料に変更し、より一層安心・安全の医療の提供を行うと同時に少しでも収入の減少を食い止める対応を行いました(改定前までは十三対一入院基本料=二・六人の患者さんに一人の看護師配置)。しかし患者さんの在院日数は平均で二十一日以内を守らなければなりません。
 さらに二年後の改定では、十三対一以降の入院基本料は廃止されると言われています。そうなると、一般病棟を運営する医療機関は、最低でも十対一入院基本料(看護師の増員)を取得しなければ病院として生き残れなくなります。すでにこの度の改定で、大病院、公的病院の看護師の採用が進み、その影響で全国の特に中小民間の医療機関で、看護師の採用ができない、看護師不足の常態が発生し始めています。看護師の採用が出来なければ、表の特別入院基本料に該当し、医療機関の入院料収入は七対一と比較して三分の一に減らされます。まさに医療機関の経営的破綻を意味します。この流れが診療報酬改定を通じて、一般(急性期)病床の削減、地域医療の崩壊につながり、ますます入院する所がなくなっていきます。医療制度改革(改悪)法実施の中止を強く求めます。
 生協全体で看護師を含めた医療従事者の確保と養成を進めていかなければなりません。組合員の皆様の地域で、医学生、看護学生等、知り合いの方がおられましたら是非とも紹介していただきますよう、よろしくお願いします。
改正前 改正後
  基本
点数
算定規準   基本
点数
算定規準
看護配置 平均在院日数 看護配置 平均在院日数
        区分A 1,555点 7(1.4):1以上
看護師比率
70%以上
19日
以内
入院
基本料1
1,209点 2:1以上
看護師比率
70%以上
21日
以内
区分B 1,269点 10(2):1以上
看護師比率
70%以上
21日
以内
入院
基本料2
1,107点 2.5:1以上
看護師比率
70%以上
26日
以内
区分C 1,092点 13(2.6):1以上
看護師比率
70%以上
24日
以内
入院
基本料3
939点 3:1以上
看護師比率
40%以上
28日
以内
区分D 954点 15(3):1以上
看護師比率
40%以上
60日
以内
        特別入院
基本料
575点 15(3):1未満
看護師比率
40%以上
 
入院基本料  入院基本料には、1日につき入院に関わる医師の診療(医学的管理料)、看護の費用(看護料)、療養環境の提供に伴う費用(部屋代、寝具料等)、入院診療計画、院内感染防止対策、医療安全管理に関わる費用等が含まれています。
看護基準  看護基準とは、病棟への看護師配置人数により決定され、入院基本料に含まれています。
 例えば看護配置10対1というのは、患者十人に看護師一人の配置となります。五十床の病棟(患者数五十人)では、勤務帯毎に五人の看護師配置が必要となります。福島生協病院は、日勤、準夜、深夜帯の三交代勤務ですので、五人×三勤務帯=一日につき十五人の看護師配置が必要となります。なお、これについては日勤十一人、準夜二人、深夜二人の合計十五人でも可能となっています。
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