No.409  2006年6月号
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 歯周病は以前であれば、「歯ソーノーロー」と言っていました。漢字では「歯槽膿漏」となり、歯の周りから膿が漏れ出てくるという症状を表しています。実際は、膿が出てくるのは進行した場合だけで、初期から中期では出血が主な症状となります。
 歯周病は、歯の周りの組織の病気です。そこには歯を支えるための「歯槽骨」「歯肉」があり、歯と歯槽骨は「歯根膜」という繊維組織でつながれています。歯が抜けてこないのはこの歯根膜の働きによるものです。歯周病では歯肉、歯根膜、歯槽骨が侵され破壊されていきます。
 歯周病の一番の原因は、歯に附着した細菌性のプラ−ク(=歯垢)です。この歯垢の中に歯周病の病原菌がいて、その細菌が毒素と炎症を起こす物質を作っていきます。その他に歯ギシリであるとか、喫煙、唾液分泌の低下なども原因となりまうsが、細菌の存在が必須です。この細菌を含む歯垢をいかに減らすか、ということが予防と治療につながるのです。
 バイオフィルムというのは細菌がつながりあって、膜のような集団を作っている状態です。例えばキッチンや風呂場の排水口に附着したヌルヌルです。細菌はバイオフィルムになると集団の力を発揮して、排除が困難になります。バイオフィルムは、免疫などの生態の防御機能では退治できない強敵になってしまうのです。薬も大変効きにくくなります。歯垢もバイオフィルムなのです。
 ではバイオフィルムはどうやったらとることができるのでしょうか。キッチンの排水口のヌルヌルは次亜塩素酸などの強力な薬を利用すると取ることができます。しかし、こういった酸を口の中で使用することができないことは当然です。ですから、「たわし」でこすることになります。口の中では歯ブラシでこすることが必要です。歯垢も時間が経つと硬くなってきます。そうすると歯ブラシだけでは取れず、より強力な超音波機器が必要になります。
次回は最新の歯周病治療についてご紹介します。お楽しみに。
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