No.406  2006年3月号
 蕁麻疹とはなんらかの刺激によりヒスタミンという物質が肥満細胞から放出されることでおこります。ヒスタミンという物質は皮膚の毛細血管に作用し血液成分が血管外へもれることで、皮膚にミミズ腫れや膨疹(ぼうしん)、紅斑(こうはん)といった虫刺されのような盛り上がりや赤みをもたらします。これらは多くの場合、半日以内で跡形もなく消失します。
 また特殊な蕁麻疹の中に血管浮腫(クインケ浮腫)があります。これは、急に浮腫(腫れ)がまぶたや唇に限局しておこり数時間から数日持続します。
 蕁麻疹はよく食べ物や薬との関係を疑われる方が多いですが、ほとんど原因不明です。慢性蕁麻疹(一ヶ月以上続く蕁麻疹)の患者さんでは、七〇%以上の人で原因不明というデータがあります。原因が明らかなものとしては食品、薬剤、感染や物理的刺激(運動、寒冷、引っかくことや圧迫など)があります。
 最初に記述したようにヒスタミンという蕁麻疹を起こす物質の働きを抑えることがポイントになります。特定の刺激(運動、寒冷、引っかくことや圧迫)が原因ならばなるべく刺激を避けることが重要ですし、原因がはっきりしない場合は薬物療法を行います。主には抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤とよばれる内服薬が治療の中心となります。この薬は、喘息やアレルギー性鼻炎にもよく使用される薬剤です。もともと眠気や倦怠感が主な副作用ですが最近では眠気が少なく、一日一回で効果をあらわすものもあります。市販の風邪薬などで眠気が出やすい方は、診察時に医師にご相談ください。また内服が必要な期間はその人によって違います。症状が一ヶ月以上にわたり出たり消えたりを繰り返す頑固な蕁麻疹を慢性蕁麻疹といいます。このような方はある程度長時間内服による治療が必要になります。しかし薬を飲むことで痒みや膨疹(ぼうしん)が消失する期間が四週間程度続けば徐々に薬の量あるいは飲む回数を減らし、最後には内服を中止することができます。医師の指導に従い、自己中止しないで根気よく治療を受けてください。
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