No.398  2005年6月号
 思春期を迎える我が子が、いろいろな質問をしてくる。「職業はどうやって選択したのか」「お母さんにとって大切なものは何か」等々。そんなとき私は、福島生協病院の歴史と、初代院長の中本先生の事を話す。広島市の中でも乳児死亡率が一番高く、貧しいがために医療の恩恵を受けられなかった私の町、命と健康を守るために、お金を出し合ってつくった診療所。そこに、住民の願いを知り若い医師がやってきた。「町に診療所ができたから、仕事でいつも疲れているお父ちゃんにも、元気になる注射をしてもらえる」と小学生が作文に書いた。「これで子どもを病気で亡くすこともなくなる」とみんなでよろこんだ。宮沢賢治の「雨にもマケズ」の詩のように、中本先生はいつも忙しそうだ。どんな人に対しても謙虚で親切だった。亡くなった父は「困った事がある時には、中本先生に相談に行け」とよく言っていた。私は看護師になった。人が、良く生きていくために大切なものは、「合い・希望・柔和・謙遜」だと思う。我が子は、医師になって、困っている人たちのために働きたいと言っている。命と健康を守る担い手として、生協運動に関わってくれたらうれしい。(HCK)
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