No.391  2004年10月号
実りの秋が近づいています。松茸を筆頭に食欲をそそる食べ物が出回り、うれしい季節ですが、天高く馬肥ゆる秋は、現代人には歓迎されない季節です。体重増加は生活習慣病を発生させやすく、悪化させます。

体重を増やさないためには自分はどのくらい食べたらよいか、知っておくとよいでしょう。下の表をご参照ください。

 
標準体重×生活強度別エネルギー
標準体重とは、身長×身長×22
生活強度、高齢者25kcal/kg(標準体重)
主婦・事務の仕事30kcal/kg(体重)
農業・漁業・建築関係の仕事35kcal/kg(体重)
 食品のカロリーを知るには、科学技術庁から出ている食品成分表を見るのがもっとも正確ですが、これをもとにカロリー計算するのは大変な作業になります。カロリー計算を容易にするために考案されたのが、糖尿病者のための食品交換表です(女子栄養大の香川式4群点数法)。これの特徴は80kcalを1単位という目安にしていることです。
 卵Mサイズ1個は80kcal、白身魚1切れも80kcal、食パン6枚切りの半分も80kcalという食品がほぼ同じカロリーを持つことに着目して、作られたものです。交換表には1単位あたりの食品の量が示してあります。
 健康を保つためにはカロリーばかりでなく、各種栄養素をバランスよく取ることが大切です。主食と主菜(魚屋肉などたんぱく質が多い食品を主体にしたもの)と野菜料理を1〜2皿の食事を一日三度とればバランスよく取れます。
 ご飯は少ししか食べないから、魚や肉などのたんぱく質を多く含む食品をたくさん食べたいということをよく聞きます。しかし、魚や肉には脂肪が含まれているので、脂肪の摂取量が増えてきています。健康に良いといわれる脂肪の摂取量は総エネルギーの20〜25%が望ましいとされています。
 また、きな粉や黒ゴマなどいろいろな食品が体によいとテレビや雑誌で紹介されると、いっぱい食べる人がおられます。どんな食品でも、カロリーがあります。黒ゴマ大さじ1杯は、ご飯軽く半杯分くらいのカロリーがあります。外来で患者さんに、納豆や豆腐、豆乳には何キロカロリーありますよと言うと、たいていの方がびっくりされます。カロリーを気にしないで摂取できるのは野菜ときのこ、海藻ぐらいです(カボチャのように糖分の多い野菜といも類はとりすぎないように!戦時中はご飯の代用食にしていたぐらいですから)。
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