No.391  2004年10月号
 かつて校内暴力の嵐が吹き荒れたとき『ブリキの勲章』を出版した能重真作さん。教師だった彼はいま、NPO法人非行克服支援センターの理事長である。
 その彼の著書『それでも愛してくれますか』を最近読んだ。長崎の少年事件に対して「犯罪者の親なんか市中引きずりまわした上打ち首にすればいい」と発言したのが小泉内閣の「大臣」であった。これが政治の一断面。ほんとうに悲しい。
 しかし、能重さんはもちろん一味違う。「報道される少年事件や街にたむろする少年少女たちの姿から大人たちは『こどもが変わった』といい、『今の子どもは理解できない』と頭を抱える。しかし『子どもが分からない』というほど私たち大人は子どもと向き合っているでしょうか」と問いかけている。
 自己イメージが悪く、劣等感、疎外感をもった子どもたちが「それでも愛してくれますか」と親や教師に問いかけている。
 子ども自身、自分の存在をかけがえのないものとして。考えられるようになるにはどうしたらよいか社会や大人がもっと子どもと向き合うことが大切である。(HKO)
 
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