No.389  2004年8月号
 日本には四季があります。古来より農耕生活を送ってきた私たちの祖先たちは、上手に季節を利用して食物を収穫し、自然の恵みに感謝していたことでしょう。暑さ寒さにも上手に対処する方法を知っており、伝統的な日本家屋も暑い夏にうまく適応した住居のようです。しかし、現代の日本は都市部では地面がほとんどアスファルトに覆われています。建物が密集しているため熱がこもりやすく、人工的に生じた熱も多いため大変な暑さです。もともと蒸し暑かった夏がますます暑くなりました。世界的に見ても砂漢地帯を別にすれば日本の夏はかなり暑い部類ではないでしょうか。長期予報では今年の夏は暑さが続くそうです。病気を持っている人だけでなく、普段元気な人も夏の過ごし方を考えていたほうがよさそうです。
 このような暑い夏を元気に乗り切るにはどうしたらよいでしょうか。まずは栄養のバランスがとれた食事と適度な運動があげられます。これらはいつも生活習慣病(高血圧、糖尿病、高脂血症)の治療で最初に行っていただくことで、しかももっとも大切なことです。それに加え規則正しい生活(夜更かしせず、ぐっすりと眠る)と、冷房で体を冷やしすぎないことも大事です。
 夏の食事といえばそうめんやざるそばなど冷たいものが思い浮かべられますが、それだけに偏ると栄養が十分摂れません。三食を通して栄養のバランスをとることができれば理想的です。
 夏の時期も適度な運動は体の調子を整えます。しかし、夏場の運動はどうしても熱中症の危険が伴います。暑い時間帯を避けてなるべく涼しい時に、十分に水分を摂りながら行ってください。喉が渇いていると感じなくても水分を多めに摂っていくことが大切です。そして、苦しさを感じたら無理をせず休んでください。気持ちよくいい汗がかけるようになればそれは体が徐々に暑さに適応している証拠でしょう。
 冷房による体の不調は特に冷え性の女性にとって大きな問題です。自分で冷房温度を高めに設定できれば良いのですが、外出先ではそうもいきません。外がいくら暑くても冷房の中では防寒のための上着やひざ掛けで身を守ることが必要です。公共の建物は弱い冷房とするようにしてもらわなければこの問題の解決は難しそうです。
 それでは、まず自分ですぐできることから始めて生活習慣を改善してみてはどうでしょうか。体調を整え、暑い夏を元気にお過しください。
 
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