No.382  2004年1月号
 女性リーダー研修での話を耳にした。「もしあなたがなるとしたら痴呆と寝たきりとのどちらを選びますか?」聞かれた八割以上の人が痴呆と答えたそうだ。理由は「痴呆症は自分では何も感じなくて済むから」というのが大半だったとのこと。その質問の意図や結論は聞けないままになってしまったのだが痴呆防止、寝たきり予防の学習会であったとしてもその選択は難しい。今私はその両方の常態の両親と付き合いながら、自分で選ぶことのできない永遠の課題を天秤にかけてみる。ふつう痴呆が始まって明日はまったく認識できなくなることなどあり得ないと思うし、急速に進んだとしても本人はもとより周囲もどれだけ苦悩しつづけることになるか。自分が人として本当に大切にされていると実感できているのだろうか、時には鬼の如くになりながらも反省する事の多い日々になる。その現状を肯定的なものとして安心して受け止められるような条件、環境づくりが家族にも地域にも求められると思う。
(HSK)
 
1月号TOPに戻る ≪前の記事 次の記事≫