No.418  2007年4月号
 糖尿病は尿に糖が出るかどうかではなく、血糖値(血液中の糖の量)が高くなることによる病気です。空腹時血糖値126r/dl 以上(正常は70〜110r/dl 未満)、あるいは食後(時間は問わない)血糖値200r/dl 以上のどちらかがあれば糖尿病と診断されます。最近「隠れ糖尿病」という言葉を耳にします。尿に糖が出ていないからとか、空腹時血糖値が正常値だから糖尿病でないとつい思ってしまいます。しかしよく調べてみると食後血糖値は200r/dl 以上あって、実は糖尿病だったという事があるからです。きちんと調べていくことが大切です。
 血糖値は膵臓から分泌されるインスリンというホルモンによって調整されています。しかし日頃の食べ過ぎ、アルコールや脂肪の摂りすぎ、運動不足、肥満などが、インスリンのはたらきを悪くします。長期間にわたるこうした生活習慣を背景に、インスリンの作用は徐々に弱められていきます。一方で「糖尿病になりやすい性質」が、遺伝的な素因として背景にあります。こうした生活習慣と遺伝的な素因が相互に関連して、インスリンの作用が血糖調節に応えられない状態となります。そのため血糖値が高いという状態が持続し、糖尿病が発症します。
 糖尿病は血管がおかされていく病気です。糖質類は本来私たちの重要な栄養源です。しかし血糖調節が不良で、200r/dl 以上の高血糖の状態が持続するようになってくると、血管内皮の障害を引き起こします。その結果として動脈硬化症が進行します。また網膜に出血が起きたり、腎機能障害や様々な神経の障害が生じてきます。これらを糖尿病の合併症と呼びます。全身に現れてくるのが特徴です。
 最近「メタボリックシンドローム」という言葉がはやりです。これはお腹の中に溜まった「内臓脂肪」というものが、動脈硬化症の進行に関連する悪いホルモンをいろいろ出しているというのです。この中には、血糖値を直接高める作用をもつホルモンやインスリンのはたらきを弱めて血糖値を高める作用をもつホルモンなどがあります。つまりお腹の中の脂肪が増えてくると糖尿病になりやすくなるという訳です。
 お腹の脂肪を減らすことは、糖尿病の発症の予防につながります。日頃から食べ過ぎや脂肪の摂りすぎに注意し、野菜をきちんと取り入れたバランスの良い食生活をしましょう。また日頃から運動に心掛けましょう
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