No.409  2006年6月号
前回の5月号で、医療制度改革(改悪)に伴って医療療養型病床の入院患者の部屋代と食事代が全額自己負担になることをお知らせしました。今回は、当生協で実際に医療療養型病床を持つ生協さえき病院を例にとって、さらに詳しくお伝えします。
 昨年六月のオープン以来、生協さえき病院では、当生協で初めての療養病床の運営ということで、試行錯誤の中、多職種で協力し合って、夏祭りや運動会・紅葉狩りなど計画、ほっとできる療養生活を送っていただこうと、努力をすすめていたところでした。
 
ADL区分3
ADL区分2
ADL区分1
885点 1,344点 1,740点
764点 1,344点 1,740点
764点 1,220点 1,740点
医療区分1 医療区分2 医療区分3
診療報酬の1点は10円で計算します。医療区分1でADL区分1の場合、764点で7,640円の収入という事になります。
そういう中、一歳の誕生日と前後して待ち受けていたのが、今回の医療制度改革法案と療養病床削減案でした。七月より実施されようとしているのは、病院の収入を大幅に減額させるものです。療養病床に入院の患者の病状のレベル(医療区分)と生活自立度のレベル(ADL区分)をそれぞれ三段階で診断します。そして患者を九分類し、それぞれに包括の診療報酬点数を割り当てます(表を参照)。このうち、症状レベルが軽いと診断された患者の入院では、同じ治療・療養をすすめていても、病院の収入は大幅な減少という事になってしまうのです。
 この改定により、生協さえき病院は年間で六千万円もの減収になってしまいます。すでに、このような改定では療養病床の経営は成り立たないということで、広島市内でも全国でも、療養病床を閉鎖と言う病院が続き、退院を迫られた患者が介護難民となってしまう事例が発生しています。
 行政側が、一般病棟との病床区分の届出締め切りを設定したのはわずか三年前の事でした。少なくない病院が、その対応のために設備投資も進めてきたわけです。事実、生協さえき病院は、組合員や地域の皆様の大きな応援を受け、多額の投資をして誕生しました。無事に立派に船出したぞ、これからだ、という矢先での、この削減政策です。
 患者にも医療機関にも、大きな混乱と困難をもたらすこの医療制度改革法案の撤回と、七月からの療養病床改定案の中止を強く求めたいと思います。そして、皆様の期待を受けて船出した生協さえき病院が少々荒波に向かうことになりましたが、無事、航海をすすめられるよう、組合員とともに全力を尽くしたいと思います。
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